依り代がたどる道 第11歩目


 他人の関係を勝手に解釈してどうするのだろうか。

「とりあえず、話の続きは帝国に戻ってからにしましょうか。いつまでも、ここにいてもしょうがないですしね」

「戻るんですか? 学者殿も」

「いけませんか?」

「いえ。意外だっただけです。一緒にいてくれると心強い」

「まー……向こうも閉じ込めるつもりはないでしょうから。そろそろ戻ってもいい頃合でしょう」

「やはり、復帰されるんですか? 救護班と死体処理班に」

「いや、どうだろうなあ……手は空いてるかもしれないけど。

戻れなかったら、いよいよ高等遊民の仲間入りかなあ」

「高等遊民ですか。それなら、あの二人の面倒でも見てもらいましょうかね」

彼は笑いながら言った。冗談に聞こえないのが怖い。

「居場所がないなら、ぜひ私たちのところへ。あの二人も喜ぶだろうから。

向こうに着いたときにでも、案内します」

「そうですか……じゃあ、お邪魔します」

今頃、救護班と死体処理班の彼らはどうしているのだろうか。

ただでさえ、人数が少ないのだ。全体的にもっと面倒を見てやればよかったかもしれない。

仕事が増えてが大変だったと、文句を言われても言い返せない。

「そういえばつゆ君、倒れたらしいですね。その時に、僕の仲間が診ていたそうですが」

「ええ」

「大丈夫でしたか? 結構きついこと言われませんでした? 

何か傷つくようなこととか。特に死体処理班の連中は容赦というものを知りませんから」

「……馬鹿でも風邪は引くんだなとは、言われました」

「今なら、何でも言ってもいいですよ。向こうに戻ったとき、彼らにきつく言っておきますから」

「いえ、それ以外本当に言われませんでしたよ」

「本当に、ですか?」

「本当に、です。私は平気ですから」

彼本人が平気でも、つゆが傷ついていないとは限らないではないか。

昨日はそんなことを聞かなかったが、実際はどうだったのだろう。

問題を抱えている彼らに誰が対応したのだろうか。比較的優しい誰かであってほしいと願う。

 

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