他人の関係を勝手に解釈してどうするのだろうか。
「とりあえず、話の続きは帝国に戻ってからにしましょうか。いつまでも、ここにいてもしょうがないですしね」
「戻るんですか? 学者殿も」
「いけませんか?」
「いえ。意外だっただけです。一緒にいてくれると心強い」
「まー……向こうも閉じ込めるつもりはないでしょうから。そろそろ戻ってもいい頃合でしょう」
「やはり、復帰されるんですか? 救護班と死体処理班に」
「いや、どうだろうなあ……手は空いてるかもしれないけど。
戻れなかったら、いよいよ高等遊民の仲間入りかなあ」
「高等遊民ですか。それなら、あの二人の面倒でも見てもらいましょうかね」
彼は笑いながら言った。冗談に聞こえないのが怖い。
「居場所がないなら、ぜひ私たちのところへ。あの二人も喜ぶだろうから。
向こうに着いたときにでも、案内します」
「そうですか……じゃあ、お邪魔します」
今頃、救護班と死体処理班の彼らはどうしているのだろうか。
ただでさえ、人数が少ないのだ。全体的にもっと面倒を見てやればよかったかもしれない。
仕事が増えてが大変だったと、文句を言われても言い返せない。
「そういえばつゆ君、倒れたらしいですね。その時に、僕の仲間が診ていたそうですが」
「ええ」
「大丈夫でしたか? 結構きついこと言われませんでした?
何か傷つくようなこととか。特に死体処理班の連中は容赦というものを知りませんから」
「……馬鹿でも風邪は引くんだなとは、言われました」
「今なら、何でも言ってもいいですよ。向こうに戻ったとき、彼らにきつく言っておきますから」
「いえ、それ以外本当に言われませんでしたよ」
「本当に、ですか?」
「本当に、です。私は平気ですから」
彼本人が平気でも、つゆが傷ついていないとは限らないではないか。
昨日はそんなことを聞かなかったが、実際はどうだったのだろう。
問題を抱えている彼らに誰が対応したのだろうか。比較的優しい誰かであってほしいと願う。
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